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空間結合型SDM用MCFデバイス

オプトクエストでは空間光学系技術を適用した高速超大容量通信用のMCF光デバイスの研究開発を行っております。

はじめに

 光ファイバによる高速大容量通信は、これまでの様々な研究開発によって飛躍的な技術的進歩を続けてきました。しかし、高速インターネットの普及により全ての物がインターネットに接続されるIoT化や、ワイヤレス通信の5G化、更にはBeyond5G/6G実用化など、増々のインターネットデータトラフィックの急拡大が見込まれ、バックボーンとしての光ファイバ通信網の伝送容量拡大は急務となっています。一方で既存のシングルモードファイバ(SMF)伝送方式では伝送容量の拡大に限界が見えてきたため、その対策として空間多重伝送(SDM:Space Division Multiplexing)が提唱されました。将来的なトラフィック量の増大に対応するため空間多重数を増大させる取り組みとして、マルチコアファイバ(MCF)、数モードファイバ(FMF)、そしてそれらを組み合わせた数モードマルチコアファイバ(FM-MCF)が検討され、実用化に向けた研究開発が行われてきました。これらは1本の光ファイバに複数のコア、または複数の伝播モードが伝送できる光ファイバです。この新たな光ファイバを用いることにより、空間利用効率は飛躍的に向上しますが、それら伝播した複数の信号を既存のSMF伝送系に接続する必要があります。その機能を担うのがFan in/Fan outデバイス(FIFO)であり、様々な方式が提案されています。代表的なものとして、SMFをMCFのコアピッチと同等まで細径化してバンドル化した上でMCFと直接接続するものや導波路を用いて配列変換して接続するものなどが考えられ、シンプルな構成で低コスト化が実現できる技術として期待できます。
 これらの方式に対し、空間結合デバイスはコア数やコア配列、非結合型や弱結合型といった方式にも拘らない柔軟性があり、またフィルタやアイソレータなど機能素子を組込んだ複合化も容易であり、機能デバイスの利用効率をさらに高めることが出来るという優位性があります。本レポートではそれらの特徴について述べます。

Keywords:空間多重、光伝送、高速大容量、インターネットトラフィック、マルチコアファイバ、数モードファイバ、Fan in/Fan out(FIFO)、空間結合、フィルタ、アイソレータ

オプトクエストにおける空間多重通信用光デバイスの開発とその優位性について

 オプトクエストでは創業以来一貫してレンズなどの光学部品(バルク光学部品)を使用した空間光学系による光通信用機能デバイスの研究開発を行ってきました。当初は髪の毛ほどの細さの石英系光ファイバに単芯のコアが形成されたシングルモードファイバ(SMF)用の各種光デバイスの開発を行っていましたが、インターネットトラフィックの急拡大による通信容量の枯渇とSMF単芯の伝送量の限界が議論され始めたころから、1本のファイバに複数コアを擁するマルチコアファイバ(MCF)を使用した空間多重通信の研究開発が各研究機関、大学などでスタートし、当社では各種MCFに適合した光信号の入出力を行うFan in/Fan outデバイスやMCF用光アイソレータなどの光機能デバイスの開発に着手しました。
 MCFデバイスには光導波路やファイバどうしを直接接合する方式など各種方式がありますが、オプトクエストがコア技術としてきた空間光学系方式は設計&製造自由度が高く、MCFを使用した空間多重伝送方式(SDM伝送方式)の研究開発と実用化の進展に寄与してきました。特に光フィルタ素子や光アイソレータ素子などのような機能素子を挿入する光機能デバイスの実現には空間光学系でしか実現できないメリットがあります。
 また、SDM伝送方式の研究段階においてはMCFのコア数、コア間距離など、MCF自体の研究開発が並行して実施されている都合上、各種仕様が存在してそれぞれに適合した光デバイスが必要とされ、そのような各種パラメータにも空間光学系による光デバイス設計はその自由度により、光導波路などの他方式に比べて優位性があります。
 オプトクエストの空間光学系技術によるMCFデバイスの研究開発の実績と成果について、この度詳細を技術レポートとしてまとめましたので、下記の各種資料ダウンロードからリンクをクリック頂き、ご確認ください。
 併せて、オプトクエストが(株)KDDI総合研究所、東北大学、住友電気工業(株)、古河電気工業(株)、日本電気(株)と共に行った総務省委託研究(平成30年~令和3年度)の成果発表としてのニュースリリースも各種資料ダウンロードからリンクをクリック頂き、ご確認ください。
 なお、オプトクエストでは空間光学系技術による各種デバイス開発やシステム開発の受託を行っております。光学系でお困りの際には是非ともオプトクエストまで問合せ下さい。