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技術情報

マイクロチップレーザ

レーザ結晶にミラーコーティングを施して、結晶だけでモノリシックに構成される小型の固体レーザです。構成部品が少なく、外乱に対してロバストであるといった長所があり、価格でコンパクトなパルスレーザを実現する候補として盛んに研究が進められており、オプトクエストにおいても2017年より内閣府ImPACTプログラム(*1)のご支援を受け、製品化を進めております。

オプトクエストにおけるマイクロチップレーザ開発

現在、オプトクエストで開発しているマイクロチップレーザの原型は1980年代に遡ります。結晶だけで構成される小型のレーザが1980年代後半に提案され、1989年にはNd:YAG結晶を用いてCW発振が、1994年には受動Qスイッチによるパルス発振がMITのグループにより実現されています。厳密な定義が見つかりませんが、このようなタイプのレーザをマイクロチップレーザと呼ぶようになり、以降、定着しております。2006年には自然科学研究機構分子科学研究所のグループにより、ミリジュールを超える高いパルスエネルギーのサブナノ秒パルスを発生させる基本技術が確立し、以降、同グループを中心とした研究によりに急速な高強度化を遂げています。

オプトクエストでは、内閣府総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)「ユビキタス・パワーレーザーによる安心・安全・長寿社会の実現」のご支援を受け、同プログラムで開発された高出力マイクロチップレーザの製品化開発を2017年度より進めてまいりました。ImPACTプログラム内では、Nd:YAG結晶をベースに波長1064nm帯のサブナノ秒短パルスレーザを試作開発し検討し、3mJ程度のパルスエネルギーを発生することに成功しました。現在、製品(*2)展開を進めております。

オプトクエスト製マイクロチップレーザの特徴、応用分野

マイクロチップレーザは一般的に、共振器長が短く、サブナノ秒パルスを容易に発生できる点が大きな特徴ですが、単体で発生できるパルスエネルギーも向上し、ミリジュール級のパルスは容易に発生可能です。
また、受動Qスイッチレーザ特有の不安定性や制御性の悪さを克服するような共振器設計を独自に進め、メガワットを超えるピークパワーのパルスを安定に手の平サイズのレーザヘッドから発生させることが可能になりました。(製品紹介ページへのリンク)

主なアプリケーションとしては、レーザ点火、レーザ計測(レーザ誘起ブレークダウン分光、レーザ超音波診断)、レーザピーニングなどがあり、短いパルス時間幅と高いパルスエネルギーが利点となるような分野での利用が進んでおります。

出力パルスの波長変換、外部増幅(MOPA構成)も行っており、お客様のご要望に合わせてカスタマイズも行っております。もし、使ってみたい、というご要望がございませいたら、是非お聞かせください。